開館時間
午前9時から午後5時まで(入館は4時30分まで)
【休館】月曜日(祝日の場合を除く)、祝日の翌日(その日が平日の場合)
午前9時から午後5時まで(入館は4時30分まで)
【休館】月曜日(祝日の場合を除く)、祝日の翌日(その日が平日の場合)
一般300円 団体(20名以上)240円
高校生以下と身体障害者手帳、療育手帳又は精神障害者保健福祉手帳の所持者及びその介護者、奈良市在住の70歳以上の方は無料
かな書の分野で初の文化勲章受章者であり、当館初代館長の杉岡華邨が逝去し2022年3月で10年を迎えました。
大正2年奈良県吉野郡下北山村に生まれた華邨は、奈良県師範学校卒業後、郷里の尋常高等小学校で習字の研究授業を命ぜられたのを機に本格的に書を学び始め、辻本史邑(1895-1957/日展参事、日本書芸院会長等歴任、日本芸術院賞受賞)に漢字を学び、昭和21年かなを尾上柴舟(1876-1957/歌人・国文学者・書家。帝国芸術院会員、歌会始選者等歴任)に師事しました。柴舟の下で粘葉本和漢朗詠集の精習に努めた華邨は、昭和32年柴舟亡きあと日比野五鳳(1901-1985/日本芸術院会員、文化功労者等歴任)に師事し、西行をはじめとするさらに多くの古筆を学びその書的地盤を広げ、「香具山」(昭和33年)、「鹿」(昭和36年)で2度の日展特選を受賞しました。書学の方法に確信をもった華邨は自分が求める美を模索する一方、約十年間禅の指導を受けるなど自らの精神性を高めることにも努め、昭和53年、大阪教育大学定年退官の年に「酒徳」で日展文部大臣賞、昭和57年の日展出品作「玉藻」で日本芸術院賞を受賞し、自らの造形理論を確立していきました。平成元年、76歳を迎えた華邨は日本芸術院会員に選ばれ、平成7年文化功労者、平成12年にはかな芸術の空間の極致とも言える「散らし」に理論的根拠を与えたことや造型理論と思想が一体となった人間性の顕れた書を完成させ、「格調高く深遠な雅趣に富む独自の書風を確立した」ことなどが高く評価され、当時書の分野では5人目となる文化勲章を受章しました。90歳を超えてからも華邨の美的な探究心は衰えることはなく、最後まで次の作品の構想を練り、筆を持ち続ける意思を見せた、まさに一生を書に捧げた生涯でした。
本展では、華邨自らが語った作品評や、様々な方の好きな華邨作品やその見どころなどの言葉を添えて紹介します。長きにわたる華邨の書業を振り返るとともに、多くの方の中に今なお生きる杉岡華邨を感じて頂けると幸いです。
◆書道文化講座「華邨の書業とその思い出」8月20日(土)午後2時から
華邨の作品や人柄、その生涯について華邨ゆかりの先生方にお話しいただきます。
講師…高木厚人(当館館長)他
※往復はがき、Fax、Eメールでの事前申込が必要です。
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