開館時間
9:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)
9:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)
一般100円、中学生以下50円
※65歳以上(要証明)と未就学児及び障がい者手帳等をお持ちの方とその介護者1名は無料
熊谷恒子記念館では、かなの美展を開催します。本展では、平安時代の僧侶・西行(さいぎょう 1118~1190)が詠んだ和歌集『山家集(さんかしゅう)』を中心に、恒子が親しんだ書を紹介します。西行は、鳥羽天皇(1103~1156)の武士として、奉仕していました。1140年に西行法師と号して出家した後に日本各地を旅し、晩年には大阪・弘川寺に庵居して1190年に入寂しました。西行について恒子は、「鳥羽上皇に仕へた北面の武士が、出家して西行また圓位ともいはれ歌人として名高い」(註1)と評価しています。また、「雨月物語の中に出てくる西行は行ひ澄した高僧の様に思はれる」(註2)と述べています。
恒子は、西行が書写したと伝わる『一條攝政集(いちじょうせつしょうしゅう)』を臨書し、西行の和歌や書に関心を持ちました。『一條攝政集』は、平安時代の一条摂政・藤原伊尹(ふじわらこれただ:924~972)の歌集で、歌物語としても注目されています。恒子は、『一條攝政集』の筆跡について「文字も大きく暢々(のびのび)としています。窮屈なものでないだけに親しみ深い書風」(註3)であると称賛しています。西行の『山家集』を重宝していた恒子は、『一条攝政集』をくり返し臨書し、西行の歌風に合わせた流暢な書を追求し、多くの作品を制作しました。
本展では、聖徳太子信仰の三重・福王山の毘沙門堂を詣で、麓の梅ケ丘に庵を設けた際に詠んだ『山家集』の和歌を表現した《伊勢のにし》(1934年頃)や、『新古今和歌集』において西行が摂津、現在の大阪・難波への追憶を詠った和歌にもとづいた《つのくにの》(1965年)、奈良・吉野山に到来する春の情景を称えた『山家集』の和歌を題材とした《よしの山》(1985年)などを展示します。西行の和歌と書に親しんできた恒子の作品をお楽しみください。
註
1 熊谷恒子「假名學習法(一)」『書道』1937年1月、泰東書道院
2 熊谷恒子「遁世者」『書壇新報』1938年8月、書壇新報社
3 熊谷恒子『書道 かな―基礎から創作までー』1978年、マコー社
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